目指すのは、強くてやさしい家づくり

1.木造軸組工法は自由工法ではない!!

阪神淡路大震災では、多くの木造住宅が倒壊し、これまで地震に強いと
されてきた木造軸組工法に対する信頼が大きく揺らぎました。
倒壊した原因としてもっとも指摘されたのが、「筋交い(すじかい)などの
耐力壁不足」ですが、そのほかにも「筋交いのバランスの悪さ」
「土台と基礎の緊結不足」「シロアリ被害による木材の著しい強度低下」
などが挙げられました。
本来なら、木造軸組工法は、しっかりとした構造計画と構造計算がなされ、
きっちりと施工され、監理されれば、地震に強いすぐれた工法です。
しかしながら、現在でも、多数の方が(建築士やビルダーも含め)、
木造軸組工法はどんな間取りや形状でも建てられる自由工法だという
間違った認識をもっています。


地震で倒壊した家
(1)不整形な平面形を有する建物 (2)重心の偏った建物 (3)大きな吹抜けのある建物 (4)耐力壁線間隔が8mを
  超える建物
図 図 図 図
(5)耐力壁で囲まれる面積が 40m2
  超える建物
(6)上下階で耐力壁線がほとんど
  一致していない建物
(7)スキップフロアのある建物
図 図 図
上記のような建物は、十分な構造・検討が必要となります。

2.構造計算(許容応力度計算)の必要性

木造の構造計算ルートには、大きく分けて3つのルートがあります(下図参照)。
通常の2階建てでは、「壁量計算ルート」が適用されます。この方法は、建物の床面積に応じて筋交いなどの
耐力壁の量を規定するもので、2000年6月の改正建築基準法施行以降は、「つりあいよい配置の基準」と
「接合部の基準(金物で緊結)」が追加され、2000年6月以前の建物に比べれば安全になったといえますが、
以下のような不安点も残っています。

  • (1)地震力が水平構面(屋根および二階の床)から鉛直構面(耐力壁)を通して、基礎に伝達される経路が
    検討されていない。吹抜けの検討がされていない。
  • (2)地震力が各耐力壁にどのような割合で伝達され、その伝達された応力が、耐力壁のもつ短期許容応力度
    以内であることを確かめていない。
  • (3)長期荷重に対して、クリープ等を考慮に入れたたわみ量が検討されていない。頭の上をとおっている梁の
    強度が確認されていない。
こうした問題点を解決するには、3階建てと同じように、構造計算(許容応力度計算)が必要となります。
「壁量計算」と「許容応力度計算」の大きな違いは、「壁量計算」が建物全体としての耐力壁量とバランスを
検討しているだけなのに対し、「許容応力度計算」は力の伝達を確認して、部材ごとの応力を求め、
その安全性を確認していく方法で、より安全側で合理的な計算方法といえます。
「壁量計算」の計算書が20ページほどであるのに対し、「許容応力度計算」では構造計算書が500ページにも
のぼります。
図:木造の構造計算ルート

3.性能表示(耐震等級)との関係

2000年6月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下「品確法」という)に基づく
住宅性能表示制度が同年7月に施行されました。この住宅性能表示の項目のなかに「構造の安定」という
評価項目があり、「耐震等級(1,2,3)」と「耐風等級(1,2)」が設定されました。
耐震等級1および耐風等級1は、建築基準法同等レベルとされ、耐震等級2と3および耐風等級2は、
「壁量計算ルート」において、「令46条と異なった壁量計算」と「耐力壁線間距離に応じた床・屋根倍率の確認」
「床倍率に応じ横架材接合部の倍率確認」をすることが要求されています。
これらは建築基準法の「許容応力度計算」の考え方を基本にしたものなので、「許容応力度計算」を行った建物は、
耐震等級2以上および耐風等級2を満足しているといえます。 コーラルハウジングでは、全棟に対して
「許容応力度計算」を行うとともに、「品確法による耐震等級3」 を取得することを基本としています。

4.壁量計算法による「耐震等級3」は本当に安全か?

「耐震等級3」を取得した建物でも、それが「壁量計算法」によるものであれば、「許容応力度計算」のところで
解説した「力の伝達(流れ)」までは検討されていません。つまり、地震や風圧により建物に加わる応力に対して、
個々の耐力壁や柱、梁が安全かどうかという点までは確認されていないのです。
したがって、より安全でかつ合理的な設計をするためには、たとえ性能表示の「耐震等級3」が取得できたと
しても、構造計算(許容応力度計算)を行う必要があります。

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